言論や出版の自由が唱えられる一方で、国家や宗教的権力などによる検閲は、歴史上、絶え間なく行われてきた。権力の意に沿わない批判的で異端的な言論、権威を傷つけおとしめようとする表現などを、権力は注意深く取り除き、抑圧し、あるいは抹殺しようとしてきた。西欧では、キリスト教の教会による長い検閲の歴史があり、また、近代ではソ連や中国などにおける共産党政権による検閲がよく知られている。日本では、江戸時代の徳川幕府による検閲制度、明治維新から敗戦までの内務省による検閲制度、そして敗戦後の占領期におけるGHQによる検閲という、少なくとも三つの検閲の時代を経験している。
早稲田大学20世紀メディア研究所では、このうち占領期の検閲の実態を明らかに残しているプランゲ文庫所蔵の雑誌と新聞について、記事データベースを作成し、2001年から公開してきた。これに基づき、占領期の検閲に関する研究がさまざまに展開されてきたが、本研究サイトにおいては、さらにそうした研究を、戦前の内務省検閲に関する研究や現代の検閲に関する問題や、あるいは日本がかつて支配していたアジアの地域や、また欧米や中国やロシアなど他の国々における検閲の研究などと結びつけ、比較し、検閲という言論の自由の対極にある問題を考える場を広げていきたいと考えている。
そこで、このサイトでは、まず以下の三つの情報を提供する。
1)検閲研究に関する最新の情報 2)検閲研究に関する参考文献の紹介 3)占領期の検閲者リストのデータベース
なお、情報の提供やお問い合わせについては、
20世紀メディア研究所事務局(m20th@list.waseda.jp)までご連絡下さい。
2014年5月 NPO法人インテリジェンス研究所
早稲田大学20世紀メディア研究所