イタリア・フィレンツェの劇場における管理・運営に関する調査報告(その1)

(1)旧フィレンツェ市立歌劇場(Teatro Comunare)に関する調査報告2011

■実施日時:2011/04/13 11:45~13:00
■訪問先:Teatro Comunare テアトロ・コムナーレ(フィレンツェ市立歌劇場)
■対応者:Barutorini 施設管理課長     Marco Zane 制作部長
■施設概要
   現在の劇場建設 1900年(1800年に野外劇場 その後屋根をつける)
   敷地 55,000㎡
   大ホール 2,000席 / 小ホール 500席
   職員 400名(職員、楽団員、ダンサー、その他のスタッフ含め)
   Maggio Musicale Fiorentino オーケストラのフランチャイズ
■訪問者:伊達知見 (NPO法人 日本アマチュア音楽家支援協会 代表理事)

        旧テアトロコムナーレ       旧劇用内のリハーサル室

■調査項目
1)施設管理に関する考え方
コンサートホールは建築、電気及び機械など多くの設備から構成されるので、重要度の高い設備を重点的に管理(分解整備、 部品交換、補修など)することによって、効果的な維持管理を目指すことが考えられますが、つぎの点でどのような取組み していますか?
(1) 施設の管理区分について
設備特性による分類、環境条件及び使用状態に応じた管理方法や管理区分を設定
(2) 施設の健全度、予防保全について
常時監視、定期点検及び劣化状態の観察
(3)過去の整備修繕記録の有無
(4)計画的な修繕について
監視、点検結果を整理し、健全度を把握した修繕計画の有無
大規模な修理・補修、設備機器の修理・修繕計画の有無
2)施設管理体制
(1) 事業主体
公営施設、民間施設、その他
(2)スタッフ、人員構成
(3)直営管理と委託管理
3)施設の利用状況
年間開館日数(A)、年間閉館日数、利用日数(B)(リハーサルなど)、年間利用率(B/A)
4)維持管理費
年間に要する点検、維持補修費
5)資金の支援
公的支援の有無
5)施設概要
(1)床面積、敷地面積、
(2)主な施設
 客席数 舞台数 照明設備 音響設備 (3)年間稼動率
(4)ホール使用料金
(3)建設年次(いつ建設されましたか)
建設費 主な改築の実績 大規模修繕の実績
■議事摘録
(1)施設のメンテナンスについて
施設は市の所有、管理は財団が行っている。したがって、通常のメンテナンス(壁の塗り替えなど)は財団からの資金で対応している。
屋根の修理などの規模の大きい修理は、市の所有物なのでフィレンツェ市の予算で対応している。市と管理財団は密接な関係にあるので、 財団が申請して市が承認する。ただし、現在は新歌劇場を建設しているので、通常補修、大規模修繕の支出は控えるようにしている。
(2)施設の管理体制について
 事務局長 Stupazzoni氏
 事務局  Ciccherellli氏 Bartorini氏(メンテナンス担当) Zuccheli氏
 部    メンテナンス担当 Perini氏  約10名
      セキュリティ担当 Sgobbi氏  約10名
 その他
 制作部 Marco Zane氏、芸術部、舞台装置部、管財部、舞台・美術製作部、管理部がある。
 なお、Bartorini氏はメンテナンス担当としてセキュリティチームとともに事務局へ異動。
(3) 業務の外部委託化について
業務の外部委託化を進めていて、現在は業務の50%を外部委託してるが、経費削減の観点から今後も外部委託化が増加傾向にある。 外部委託でも財団に雇われている立場であり、財団がしっかり監督している。火災防止チームは歴史的にオペラ劇場所属の専属チームをもっている。
(4)施設の利用状況
・12月から5月までのコンサート・シーズンはオペラ、バレーの演目が多い。
・養成所の演目  週1回のコンサート 週2、3日のリハ
・昨年の5月と6月は13日間の公演だった。
(5)使用料金
 大ホール 11,000ユーロ/日 (約132万円、1ユーロ120円換算)
(演目によるが全コスト込み、必要最小限のサービス) この価格は相場よりやや高いそうだ。
(6)維持管理費について
通常の保守費用として年間約300,000ユーロ(3億6千万円 、1ユーロ120円換算)
現在は故障部を補修するだけにしている。予防的メンテナンスはしていない。もしこれを実施することになると現在の費用の2倍になるだろう。
(7)公的資金支援について
90%から95%が財団の自主公演である。
事業費に占めるチケット売上率は10%から20%となっている。テアトロ・ベルディより相当低いと思う。
制作費の50%は400人を有する人件費だ。規模が大きく大変だ。
国や市の予算がカットされて半年先の予定が立てられない状況だ。本来ならば3年周期で確実な資金調達が与えられるべき。
(8)新コムナーレの建設
現地から1キロほど離れたところにあるカシーネ公園に、新しい歌劇場を建設中。完成は2012年の予定。
現在の施設はホテルと高級アパートとして売却することが決定している。
*Maggio Musicale Fiorentino オーケストラは今年3月に来日公演の予定でしたが、来日直後に東日本大震災に遭遇し、横浜公演の1回のみ 自主的に帰国している。帰国理由は団員の家族から早く帰国させるように財団やフィレンツェ市に対して強力や申し入れがあり、止むを得ず 日本公演をキャンセルして帰国した。このため大きな赤字を市が負担せざるを得なくなったフィレンツェ市当局は頭をかかえているそうだ。 日本公演キャンセルは現地のマスコミも大きく取り上げた。
ちなみなに、対応してくれたMarco制作部長もこのとき来日しており、駅前のミューザ川崎に行ったそうだ。ホールの被害も知っていた。 今回の訪問についても、終始協力的で、今後何か分からないところがあれば、いつでもメールでも結構です。妻が日本人なので英語でなく 日本語でいいですよとのことだった。
                                   以上

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