フィレンツェ新市立歌劇場の概要調査報告2015

  ■日時 2015/4/27
  ■訪問者:伊達知見(NPO法人日本アマチュア音楽家支援協会 代表理事)
  ■対応者:DIRETTORE Marco Zane

【印象に残ったこと】
1)洗練されたデザイン
主張すべきことをしっかり大胆に格好良くデザインした、バナー、写真、表示板などが個人的には気に入りました。
2)ホールづくり
2年前に視察したときは、まだ楽屋舞台機構が出来ていませんでした。それでもオーケスラ公演は開催されていました。 その後、設備がほぼ完成して、オペラ公演が始まっています。新歌劇場は旧劇場から600mほど離れたカッシーネ公園隣接地に建設されたものです。 新ホールは近代建築のデザインです。このため当然ながら、現在も市民からは賛否量論があります。野外劇場や市民利用施設(野外劇場の左手の建物、 会議室、研修室など)を併設したのは市民理解を得るための対応策の一つといえるでしょう。
3)ホールのホワイエや廊下
これからも過去の出演者などの写真で埋め尽くしたいとのこと。レナード・バーンスタイン、小澤征爾、リッカルド・ムーティの大きな写真の前で、 マエストロOZAWAの写真を自慢げに説明してくれたのが印象的でした。日本人として誇らしくも思えました。
4)充実したバックヤード
録音スタジオとしても利用できるオケ練習場。陽気なホルン奏者が日本語で「いらっしゃい」と迎えてくれた(笑い)。今秋に日本公演に来るらしい。 ほかにも大小練習場がある。
5)ポピュラー音楽の演奏など公演の多様化
もともと生音を聴かせるために音響設計されたアコースティックホールにとって、電気音響による拡声は調整次第では音響特性上、逆作用が働きます。 フィレンツェでもクラシックホールでジャズやポピュラー音楽の企画が増えているそうです。やはり音圧を抑えた演目になるように調整しているとのこと。 音響機材や高度な専門技術にもよりますが、音響特性を十分踏まえた企画が重要であることは共通課題といえます。
6)ホール内階段の躓き防止の安全対策
2年前にはなかったシール材の塗布。滑り止めにガラス粉を混入させた材料を使ったのは日本のホールが初めての試みと思っていたましたが、 すでにフィレンツェにありました。
7)クラシック音楽のファン人口の減少、模索がつづく対応策
滞在中、コンサートに2回行きました。いずれも入場者の年齢層は日本とほとんど変わらない感じがしました。2年前にフィレンツェ市役所文化部長を 訪ねたときの話ですが、ファン層の拡大が課題ということで、子どもをオペラに出演させるとか、様々な対策を模索していました。 ちなみに事業費に占めるチケット収入の割合は概ね25%ということ。また、テアトロ・ベルディ(民間劇場)では40%程度だということでした。 フィレンツェのオペラ公演は最盛期に比べ半減したとか、市から半額補助のチケットの中止を発表したら、市民から大反対が起きて元に戻したとか。 劇場を取り巻く歴史や文化や社会環境の違いから一概には言えませんが・・・。

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